2017年のIPニュース

2017年7月25日号中国:OEM生産でも同一商標を使用していない場合商標権侵害と判断される 他

  1. 中国:OEM生産でも同一商標を使用していない場合商標権侵害と判断される
  2. 中国:「POWERPOINT」を登録商標と認定
  3. 韓国:高齢者医療及びケアに関する出願が25倍に
  4. 中国:並行輸入が商標権侵害と認められた例
  5. 中国:著作権侵害が知的財産権侵害事件の大半を占める
  6. ウズベキスタン:知的財産法改正へ
  7. ケイマン諸島:改正商標法施行(続報)

中国:OEM生産でも同一商標を使用していない場合商標権侵害と判断される

上海知的財産法院は商標「PEAK」に関するOEM製造業者の商標権侵害に関する審理において、輸出専用に製造された商品であるにも拘わらず、OEM製造業者に対して商標権侵害を認める決定を下した。

問題の商標「PEAK」は登録第676992,5087689号を付され、それぞれ第25類の衣服や靴等を保護している。当該商標はFu Jian Quan Zhou Peak Sport Products Co., Ltd(以後PEAK Sportsと呼ぶ)によって登録されたものである。これに対し、アメリカ企業ISAAC MORRIS LTD(以後ISAACと呼ぶ)はアメリカに標準文字商標「PEAK SEASON」(第3869976号)を登録している。同社は中国企業Wuxi City Zhenyu International Trade Co(以後Zhenyuと呼ぶ)にOEM生産を依頼し、同社は「PEAK SEASON」と「BY ISAAC MORRIS LTD」を付した衣服を製造し輸出していた。

2014年、PEAK SportsはZhenyuが「PEAK SEASON」を付した衣服を輸出していることを発見したが、「PEAK」が最も目立つように配置されていた。PEAK Sportsは上海地方裁判所にISAACとZhenyuによる商標権侵害を訴えた。しかし地方裁判所はOEM商品が専ら海外に輸出され、国内市場で使用されていないため、中国における出所表示機能がなく、商標的使用にあたらないとし、侵害を認めなかった。
PEAK Sportsは北京知的財産法院に提訴し、同院は同社の主張を認めた。同院はまずオンライン取引は世界的に発展しており、国内市場で販売されていない場合でも侵害品はamazon.comで販売されているため、中国消費者がこれらの商品にアクセス可能であり、これにより中国における出所表示機能を有し、このような使用は商標的使用にあたると判断した。次に被告はPEAK Sportsの商標と類似の態様で「PEAK」を使用しており、指定商品も同一又は類似であるため、消費者に混同をもたらす虞があり、このような使用は商標権侵害につながると説明した。
最後に、当該商品は中国市場には流入していないため、被告に対し相当の賠償金としてRMB20,000の支払を命じた。
今回の案件で原告のPEAK Sportsは中国国内でも有名な企業であった。上海知的財産法院は明らかに被告の悪意を認めているようである。同法院の判決は、先に最高法院が決定したOEM製品における商標権侵害の除外(OEM Exemption、2016年02月09月号参照)に反するものである。更に、商標的使用の判断の根拠がオンラインショッピングであることも適切であるのか物議を呼ぶものであろう。

本件について、進展が在り次第、IPニュースでもお伝えする予定である。

[出典:MMLC]

中国:「POWERPOINT」を登録商標と認定

北京高級人民法院は、ソフトウェアプログラムのパワーポイントについて、公衆に広く知られてはいるが、商品と商標権者であるマイクロソフト社との関連性を弱めていないとし、「PowerPoint」は出所表示機能を有し、商標として登録可能であると判断した。

2011年11月30日、マイクロソフトは中国を含む国際商標「POWERPOINT」を第42類の「computer services, cloud computing services」について登録した。2012年09月24日、中国商標局(CTO)は識別性の欠如に基づき、これを拒絶した。マイクロソフト社は商標評審委員会(TRAB)に再審請求し、TRABも2015年01月30日、CTOの決定を維持した。2015年12月18日、マイクロソフト社は北京知的財産法院に出訴したが、同院においてもTRABの決定は維持された。マイクロソフト社は更に高級法院に提訴した。
同院における審理において、TRABはマイクロソフト社による「POWERPOINT」の長年に渡る使用により、消費者は当該商標とファイルのプレゼンテーションとの関係を認識している。従ってPowerPointは一般名称となしており商品又は役務の出所を表示する機能が認められず、従って識別性を欠くと主張した。
2016年12月26日、北京高級人民法院は第一審を破棄し、TRABに再審を命じた。
高級人民法院は一般名称の認識は全国レベルの消費者の一般的な知識に基づくものでなければならないとした。同院は一般名称は、標章が商品の性質を記述するものであり、出所標示性を持たない場合、及び当該名称の商標登録が公的リソースの独占となり、関連産業の競合者の利益を害する場合、商標として登録できないと説明した。
マイクロソフト社は「POWERPOINT」を1999年、第9類のソフトウェアに出願し、2000年に登録となり、現在でも有効である。即ち、2000年度、「PowerPoint」はプレゼン用ソフトウェアとして一般的名称ではなかったことを示す。2000年以降、プレゼン用ソフトウェアの商標としての「POWERPOINT」を関連公衆に広く知られるようになったが、これは商標権者と商品の関連性を弱めるものではなく、逆に強めるものである。
また、同一産業の競合者がPowerPointを商品名又はソフトウェアのフォーマットに使用している証拠はない。同じタイプの商品については多様な商標(KEYNOTE, SLIDE等)が存在する。従って、TRABは「PowerPoint」がプレゼン用ソフトウェアの一般名称となったことを立証していない。
「PowerPoint」は英語の結語であり、独創性を有する。提出された書類は同標章が一般名称となっていることを立証するには不十分であるため、商標「POWERPOINT」は出所表示機能を有し、登録可能であると判断した。

[出典:WAN HUI DA]

韓国:高齢者医療及びケアに関する出願が25倍に

韓国特許庁は、2012年から2016年にかけて、高齢者の福利に関するサービス事業に関する商標出願が760件から987件に増えたと発表した。これは5年間で30%の増加であり、現在も上昇している。
出願の内訳は、自宅介護及び老人ホームに関する事業に関するものが86%、サナトリアム及び高齢者用医療施設に関するものが11%、高齢者のケアに関するものが3%となっている。
韓国では高齢者の疾患が増えており、上記の数字はこうした傾向を反映するものかも知れない。

[出典:KIM, HONG & Associates]

中国:並行輸入が商標権侵害と認められた例

2016年、商標「Ballentine's」及び「百龄坛」の所有者であるALLIED DOMECQ SPIRITS & WINE LIMITED (ADSWL)は、長沙市の中国企業がBallentineウィスキーを並行輸入し、ロット番号を削り、同社の許可なく商標「百龄坛」を付したラベルをつけて販売していることを発見した。
ロット番号は製造業者が品質管理、賞味期限、リコールなどの情報を出し、消費者がこれを使って製造業者と必要な情報を交換・入手するのに必要な特定番号である。
ADSWLは調査中級人民法院に提訴し、同院は2017年01月22日、ロット番号の削除は商標権者と消費者をともに害する行為であると認め、同番号の削除および商標「百龄坛」の無許可の使用を商標権侵害と認め、差止命令と罰金RMB20,000を決定した。

[出典:MMLC]

中国:著作権侵害が知的財産権侵害事件の大半を占める

最高人民法院は2016年における知的財産権侵害のレポートにおいて、昨年度は2015年に対して41.34%侵害事件の増加が見られると発表した。これによると、各知的財産権の内訳は、著作権侵害が50.20%、商標権侵害が34.17%、特許権侵害が15.63%であった。事件の発生した地域は広東、北京、浙江が最も多かった。

[出典:MMLC]

ウズベキスタン:知的財産法改正へ

2017年04月18日、ウズベキスタンでは特定の共和国法の改正及び追加に関する法律が採択され、民事法典、商標及び原産地呼称に関する法律、不正競争防止法が改正され、2017年04月19日付で施行された。これは同国の知的財産法体制をロシアのものと合わせることを目的としており、その特徴は以下の通りである。

消尽の原則採用

プラクティス上では既に商標権の消尽の原則が採用されているが、改正法は未だ国際消尽或いは国内消尽のいずれかを採るかを明確にしていない。同国の幾つかの裁判所は既に国際消尽の基づき、並行輸入を認める判決を出しているが、公正取引委員会は国内消尽を支持している。

不使用取消審判

旧法において、登録後5年継続して使用されていなかった場合、取消の対象となっていたが、最近の5年間の不使用の場合を取消対象となる。商標の使用に関する定義が拡大されたため、使用を示す手段として、今後は広告、印刷物、看板、ビジネス書類、商品ラベル、パッケージ、地方の展示会又はフェアへの出展、商品の市場の自由な流通に関する書類、ドメインネーム等も援用できる。

侵害品の定義

旧法にはなかったが、改正法において「出所混同を招くほど類似する又は同一の商標が、商品、ラベル、又はパッケージに不正に使用されたもの」と定義された。

不正競争

不当な比較(faulty comparison)、知的財産活動の結果の不正な使用による商品の販売、消費者を欺罔する等について定義が拡大され、先使用権が明確に定義された。
旧法において先行登録と同一の商標のみが対象となっていたが、今後は同一又は混同するほど類似する商標の登録も禁止される。

[出典:SD PETOSEVIC]

ケイマン諸島:改正商標法施行(続報)

2017年06月27日号でケイマン諸島における改正法施行のニュースをお伝えしたが、改正法ではシリーズ商標が採用されていないため、既存のシリーズ商標を所有している場合は注意が必要である。旧法下でシリーズ商標を登録した場合、改正法下で更新するにあたり、更新より前、又は同時にシリーズ商標の分割申請を行わなければならない。
更に期限後の更新について、6カ月以内であれば割増料金はかかるが手続可能である。それ以降については商標権の回復申請を行うことになり、更に追加料金がかかる。

[出典:e-proint]

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