2017年のIPニュース

2017年2月14日号中国:最高人民法院「商標の権利付与権利確定に係る行政事件の審理に係る若干問題の規定」公表 他

  1. 中国:最高人民法院「商標の権利付与権利確定に係る行政事件の審理に係る若干問題の規定」公表
  2. 中国:知的財産上訴法院設置の動き
  3. カタール:45区分制導入
  4. スイス:商標に関する政令の改正
  5. ブルネイ:国際登録における使用意思宣誓書
  6. シンガポール:オフィシャルフィー変更
  7. パキスタン:地理的表示法草案公開
  8. ラオス:地理的表示法施行へ
  9. モンテネグロ:商標法改正
  10. カンボジア:出願増加
  11. UAE:化粧品と香水に関する新規則

中国:最高人民法院「商標の権利付与権利確定に係る行政事件の審理に係る若干問題の規定」公表

中国最高人民法院は2017年01月11日「商標の権利付与権利確定に係る行政事件の審理に係る若干問題の規定」を公表し、2017年03月01日より施行される。この規定は商標権付与又は権利確定に係る行政事件において、中国各裁判所の決定に重要な影響を与えるものである。この規定は全31条からなり、特に重要な規定は以下の通りである。

第5条:「商標標章又はその構成要素が我が国の社会公共利益と公共秩序に消極的、負の影響を生じる場合、人民法院はそれが商標法第10条第1項第(八)号に規定する“その他の悪影響を及ぼすもの”であると認定することができる。
政治、経済、文化、宗教等の分野の有名な人物の氏名等を商標として登録出願した場合、それは前項でいう“その他の悪影響を及ぼすもの”に属する。」なお商標法第10条第1項第(八)号は「社会主義の道徳、風習を害し、又はその他の悪影響を及ぼすものは、商標として使用してはならない」と規定する。

第20条:「係争商標が姓名権を害すると当事者が主張し、関連公衆が当該商標は当該自然人を指示すると認識し、当該商標を付した商品が当該自然人の許諾を受けたものである又は当該自然人と特定の関係があると容易に認識する場合、人民裁判所は当該商標は当該自然人の姓名権を害すると認定しなければならない。当事者がそのペンネーム、芸名、訳名等特定の名称で姓名権を主張し、当該特定名称が一定の知名度を有し、当該自然人と確かな対応関係が確立し、関連公衆がそれにより当該自然人を指示する場合、人民法院はこれを支持する。」

第22条第2項:「著作権保護期間内の作品について、作品名称、作品の登場人物の名称等が高い知名度を有するときに、それを関連商品において商標として使用し関連公衆にそれが権利者の許諾を受けたものである又は権利者と特定の関係があると容易に誤認させ、当事者が既得権益を構成すると主張した場合、人民法院はこれを支持する。」

本規定の原文は以下で確認できる。

[出典:NTD PATENT & TRADEMARK AGENCY LTD]

中国:知的財産上訴法院設置の動き

先日、最高人民法院から公表された『裁判の職務的機能を十分に発揮して司法による財産権の保護を着実に強化することに関する見解』では、知的財産権の派出法廷の立上げを早め、知的財産上訴法院の設置を検討し、知的財産裁判活動の体制構造を整備することが提言されている。
同見解では、関係法律の改正作業に積極的に参与し、知的財産権侵害に係る損害賠償制度の整備を推進している。北京、上海、広州の各知的財産法院は先導的役割を十分に発揮して知的財産派出法廷の立上げを早め、知的財産上訴法院の設置を検討し、知的財産裁判活動の体制・構造を整備すると表明されている。
また知的財産権関係の民事、行政及び刑事事件の3つを一括して裁判することを推進して、司法による知的財産保護の全体的な効果を高めることも示されている。

[出典:Beijing Sanyou Intellectual Property Agency Ltd]

カタール:45区分制導入

カタールでは従来42区分制が採用されていたが、2017年02月12日より43-45までの区分が導入されることになった。同日よりこれらの区分への出願が可能となる。

[Abu-Ghazaleh IP]

スイス:商標に関する政令の改正

スイスでは2016年12月02日、連邦議会が商標に関する政令の改正を採択し、2017年01月01日より施行された。主な変更点は以下の通り。

  • 受領日や国内の郵便について、消印が明瞭な場合、提出日は消印に記載の日とする。消印が不明瞭な場合、速達の場合は知的財産庁に届いた日の前営業日、普通便については3営業日前とする。
  • 海外郵便の場合、知的財産庁に届いた日の前営業日とする。
  • 共同権利人で共通の代理又は連絡先を指定しなかった場合、知的財産庁は任意でどちらか一方の連絡先を選択する。しかしもう一方の権利人が反対する場合、知的財産庁は権利人らに対して連絡先を選択するよう文書で通知しなければならない。

また、これに伴いオフィシャルフィーも変更された。

[出典:IGE]

ブルネイ:国際登録における使用意思宣誓書

2016年12月19日、ブルネイはWIPO長官に対し、国際登録又は事後指定においてブルネイが指定国となった場合、商標の使用意思宣誓書(DIU)の提出を要求されると通知した。

[出典:WIPO]

シンガポール:オフィシャルフィー変更

シンガポールでは2017年04月01日よりオフィシャルフィーが変更される。出願、変更登録に関しては値下げ又は一部オフィシャルフィーがなくなる予定である。
対して、更新費用は上昇する予定である。
新オフィシャルフィーは2017年04月01日以降に申請されたものに対して適用される。

[出典:DONALDSON & BURKINSHAW]

パキスタン:地理的表示法草案公開

パキスタン知的財産庁は地理的表示の保護に関する法律草案を作成し、同庁のHPに公開した。その主要点としては、地理的表示(GI)の定義が記載され、知的財産庁管理のもとでGI登記局が設置される。登記局はパキスタンにおけるGI登録商品の管理に関する問題と登録を管轄する。その他不登録事由、申請人資格、申請内容も明記された。
申請後、実体審査が行われ拒絶理由が発せられる。拒絶理由がない場合又は克服した場合、GI官報に異議申立のために掲載される。90日以内に異議申立がなかった場合、登録となる。
何人も異議申立を請求でき、出願人は答弁書を提出する。その後、登録官は決定を下すが、これについて不服申立を請求できる。
海外の申請について、本国でGI登録されていれば申請可能である。
登録GIは使用されなくなった、明細書に規定の方法で製造されなくなった等の理由に基づき登録官が職権で或いは取消請求により取り消される。
GIの登録期間は10年で更新可能である。

[出典:Vellani & Vellani]

ラオス:地理的表示法施行へ

ラオスでは科学技術省(MOST)が知的財産法第1119号における地理的表示の施行について決定した。当該決定は国内及び海外からの申請も認めている。
決定では申請人資格、申請書類、登録の対象となる商品、明細書の様式、オフィシャルフィー等が定められている。
出願日から60日以内に方式審査が行われ、不備がある場合は出願人に通知される。方式審査後、実体審査が行われ、問題がある場合拒絶理由が発せられる。
出願人はこれに対し、90日以内に対応しなければならない。
出願書類は英語で提出できるが、出願日から90日以内にラオ語に翻訳されなければならない。
審査後、要件を満たした出願は公告となる。国内出願の場合は出願日から12-18か月で登録となる。海外からの出願の場合、ラオスと相互保護協定を締結している国からの出願であるかによって審査のスピードが変わる。ラオスは現在日本・カンボジア・ベトナム・シンガポールと締結しており、これらの国からの申請であれば恐らく1-3か月で登録となる可能性がある。

[出典:Tillke & Gibbins]

モンテネグロ:商標法改正

モンテネグロでは2017年01月18日付で改正法が施行された。大部分の改正は行政手続に関する法律に合わせた定義に関するものだが、以下2つの重要な改正点が挙げられる。
まず、知的財産庁の決定に対して、旧法では経済省が第二審となり、その後の不服申立は行政裁判所に対して提出されていた。改正法において、この制度を廃止し直に行政裁判所に対して不服申立を提出するようにした。
もう1つは、異議申立において当事者同士が和解を協議する場合、審理を中断することが可能となったものである。当事者は6か月以内に和解に達しなければならない。旧法においても中断は可能であったが、改正法では和解交渉の場合の中断を義務付けている。6か月以内に和解に達せず、まだ交渉を続ける場合、当事者双方は交渉の議事録を作成し、知的財産庁に提出しなければならない。

[出典:SD PETOSEVIC]

カンボジア:出願増加

2016年度カンボジアの登録商標数は4685件となり、対前年度比10%の上昇であった。この増加の原因の1つとしてマドプロへの加盟が挙げられる。これによって海外からの同国への出願が増える可能性は以前から指摘されていたが、それのみならずカンボジア企業からの出願件数も、前年度に対して16%上昇していることが判明した。
カンボジア行政機関は知的財産保護の強化を推奨してきたが、カンボジアにおいても知財への関心が高まっていることをこの数字が裏付けていると考えられる。

[出典:Phnom Penh Post; Khmer Times]

UAE:化粧品と香水に関する新規則

湾岸協力会議標準化機構(Gulf Cooperation Council Standardization Organization (GSO))は新しい規則を設置し、これによりUAEで販売される化粧品及びケア用品のパッケージに名称をアラビア語で記載することが義務付けられた。
この新しいスタンダートGSO1943/2016号はGSO1943/2009号に代わり、新しい要求を掲載している。UAEの輸入業者は2018年01月01日までにこの規則に従わなければならない。
この新しいスタンダードは、今後すべてのGCC加盟諸国で採用される予定である。

[出典:SABA IP]

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